2023.09.22
防水工事・外壁塗装コラム
外壁塗装の足場って必要?費用相場やトラブル事例、対処法などを解説
外壁塗装の見積もりを依頼すると、大半のケースで足場代が記載されています。
外壁塗装費用のなかでも足場代は費用がかかりやすい項目であり、「本当に必要?」「足場代の相場ってどのくらい?」など、疑問に感じている方も多いでしょう。
そこで今回は、外壁塗装の足場の必要性や費用相場、足場に関係するトラブル事例と対処法などを解説します。
目次
- 1 外壁塗装に足場が必要な理由
- 1-1 安全の確保
- 1-2 施工品質の向上
- 1-3 塗料や水の飛散防止
- 2 外壁塗装の足場の費用相場はどのくらい?
- 2-1 足場代の計算方法と費用相場
- 3 外壁塗装の足場代無料は要注意
- 4 足場に関するトラブル事例と対処法
- 4-1 物損トラブル
- 4-2 隣人トラブル
- 5 外壁塗装における様々な足場のタイプ・特徴
- 5-1 一般的な鉄パイプ足場とは?安全性に関する要素
- 5-2 軽量で作業性が良いアルミ足場のメリット
- 5-3 屋根裏・バルコニーでも使える脚立形足場
- 6 足場設置に必要な法令・安全対策のポイント
- 6-1 建築基準法や高所作業車の法令遵守が大切
- 6-2 高所作業による労働災害防止のための対策
- 6-3 地域・時期による足場設置時の留意点
- 7 外壁塗装後の足場撤去とその手順・注意点
- 7-1 足場の正確な撤去時期と撤去作業の流れ
- 7-2 作業者・周囲の安全確保に関するポイント
- 8 まとめ
1 外壁塗装に足場が必要な理由
外壁塗装を行う際、必ずといっていいほど見積もりに記載されている足場代ですが、なぜ足場を組むのでしょうか。
ここでは、外壁塗装における足場の必要性を解説します。
1-1 安全の確保
足場を組む理由の一つは、外壁塗装の職人が高所で安全に作業するためです。
2021年に建設業で発生した労災件数のうち、墜落・転落が最も多く4,869件、次いではさまれ・巻き込まれが1,676件(参照:【最新版】建設現場で多い事故原因を調査|熱中症の件数は?)となっています。このように、外壁塗装などの高所作業は予想以上に危険を伴う作業であり、墜落・転落で毎年多くの死傷者が出ているのです。
そこで、安全性の高い作業環境を確保するために、外壁塗装工事では足場が組まれています。
1-2 施工品質の向上
外壁塗装工事で足場を組むことは、施工品質の向上にもつながります。
足場のない状態で塗装作業を行う場合、体幹が安定せず塗料を均一に塗ることがむずかしいですが、足場があれば安定した体勢で作業できます。
隣の家との隙間が足場を組めないほど狭いといった状況を除いて、外壁塗装では施工品質向上のためにも足場が組まれます。
1-3 塗料や水の飛散防止
足場は塗料や高圧洗浄の水が、周囲に飛散しないようにするための役割も担っています。
というのも、足場を組むことで、そのうえに飛沫防止シートを張ることができます。この飛沫防止シートがあることで、塗料や高圧洗浄水が周囲に飛散するのを最小限に抑えることができ、作業環境をきれいに保ったり、近隣住民とのトラブル防止になったりするのです。
2 外壁塗装の足場の費用相場はどのくらい?
外壁塗装工事において、足場代は工事費用全体の20%を占めると言われています。
決して安くない金額がかかる分、「足場代の相場ってどのくらいなの?」と気になる方も多いでしょう。
2-1 足場代の計算方法と費用相場
外壁塗装で足場を組む際の費用相場は、30坪2階建ての住宅で20万円程度と言われています。
なお、自宅の足場代の相場については、以下の2ステップで簡易計算が可能です。
ステップ1:足場架面積=【家の外周(m)+8m】 × 【家の高さ(m)+1m】
ステップ2:足場費用=足場架面積 × 平米単価
家の高さは、1階建てが3.5m、2階建てが6m、3階建ては8.5mが目安です。足場の1㎡あたりの単価は600~1,000円であるため、計算式を使っておおよその足場代を計算できます。
たとえば、30坪2階建ての住宅の外周が約30m、家の高さが6m、足場代の単価が1㎡あたり1,000円として計算してみましょう。
ステップ1:足場架面積=(家の外周30m+8m) × (家の高さ6m+1m) = 266㎡
ステップ2:足場費用=足場架面積266㎡ × 平米単価800円 = 212,800円
あくまでおおよその金額になりますが、30坪2階建ての住宅であれば相場どおり20万円ほどかかることがわかります。
3 外壁塗装の足場代無料は要注意
外壁塗装は数十万円を超える大きな出費となるため、できるだけ費用を抑えたいと考えるのは当然です。そのため、「足場代無料!」などと書かれている広告を見ると、魅力的に思える方も多いでしょう。
しかし、足場は外壁塗装において必要不可欠なものです。組み立てと解体にそれぞれ1日ずつかかり、さらに足場の組み立てには国家資格保有者が同伴する必要あるため、工数と人件費がかかる分、無料になることはありえません。
宣伝広告に記載されているとおり足場代が無料になるケースはほとんどなく、塗料代や施工単価に足場代を上乗せして一見安くしているように見せていることが一般的です。
足場代が無料になることはないため、「足場代無料」という広告を見たら慎重に検討しましょう。
4 足場に関するトラブル事例と対処法
外壁塗装の足場に関連するトラブルの事例と対処法を解説します。
4-1 足場代の計算方法と費用相場
足場を組み立てるときは、職人が細心の注意を払って組み立てますが、手作業で行う分、外壁や窓、車などを傷つけないとは言い切れません。
本来なら、足場を組み立てるときに傷つけた足場業者が補償するものですが、悪徳業者の場合、「もともと傷がついていた」などと言って補償してくれずトラブルになるケースがあります。
このような事態を避けるためにも、足場業者が保険に加入しているのか、また元請の塗装会社も保険に入っているかを事前に確認しておくようにしましょう。また、万が一のケースを想定し、保険の対象範囲を確認しておくことをおすすめします。
4-2 隣人トラブル
外壁塗装工事で足場を組むときは、騒音によって隣人トラブルになるケースがあります。
自宅内で足場を組むとはいえ、外壁塗装工事が始まる前にあいさつを行い、作業内容を説明しておくようにしましょう。
また、自宅の敷地内に足場を組むスペースを確保できない場合、近隣の住宅の敷地を借りて足場を組む必要があります。その場合もトラブルになりやすいため注意が必要です。
近隣の住宅の敷地を借りる場合も、工事が始まる前に訪問し、説明・許可を得たうえで工事日を迎えるのがおすすめです。
この辺りはしっかりとした塗装会社さんなら事前にお伝えし一緒にあいさつ回りにも同行されることと思います。
5 外壁塗装における様々な足場のタイプ・特徴
外壁塗装工事において、適切な足場を選ぶことは作業の安全性や効率性を高める重要な要素です。さまざまな種類の足場があり、それぞれ独自の特徴を持っています。以下では、一般的な鉄パイプ足場、軽量で作業性が良いアルミ足場、そして屋根裏やバルコニーなどでも利用できる脚立形足場について解説します。
5-1 一般的な鉄パイプ足場とは?安全性に関する要素
鉄パイプ足場は、その頑丈さと安定性から広く利用されています。主に鉄製のパイプを使用し、高所での作業を支えるために組み立てられます。この足場は強度があり、多くの場合、大きな建物や複雑な形状の建物に適しています。しかしながら、設置や撤去には時間がかかり、コストも高めになることがあります。また、安全性を確保するために、しっかりとした設置と定期的な点検が必要です。
5-2 軽量で作業性が良いアルミ足場のメリット
アルミ足場は、軽量でありながら耐久性があります。その軽さから、組み立てや移動が比較的容易であり、作業効率を高めることができます。さらに、錆びにくい性質を持つため、長期間の利用に適しています。ただし、鉄パイプ足場に比べると強度がやや劣る場合がありますので、使用する場所や目的によって適切な選択が求められます。
5-3 屋根裏・バルコニーでも使える脚立形足場
脚立形足場は、小規模な作業や狭い場所での利用に適しています。通常の足場よりもコンパクトであり、屋根裏やバルコニーなど、スペースが限られている場所での作業に適しています。しかし、高所での作業には向いておらず、その安定性や耐久性は他の足場に比べてやや劣ることがあります。
これらの異なるタイプの足場は、それぞれの特性や適用範囲が異なるため、外壁塗装工事において最適な選択をする際には、建物の特性や作業環境を考慮することが肝要です。
6 足場設置に必要な法令・安全対策のポイント
外壁塗装における足場設置は、建築基準法や労働安全衛生法などの法令を遵守し、適切な安全対策を講じることが不可欠です。以下では、建築基準法や高所作業車の法令遵守の重要性、労働災害防止のための対策、そして地域や時期による足場設置時の留意点について解説します。
6-1 建築基準法や高所作業車の法令遵守が大切
建築基準法には、建物の安全性や耐久性を確保するための規定が含まれています。足場設置もこれに含まれ、安全な作業環境を確保するために重要な役割を果たします。また、高所での作業には高所作業車などの機材が必要となりますが、これらの機材の取り扱いに関する法令も遵守することが不可欠です。
6-2 高所作業による労働災害防止のための対策
足場設置時には、作業員の安全を最優先に考えることが必要です。適切な安全対策を講じることで、高所作業に伴う転落や事故を防止することができます。安全ネットの設置や安全帯の着用、定期的な点検などが重要です。
6-3 地域・時期による足場設置時の留意点
地域や季節によっても、足場設置に関する留意点は異なります。地域によって風の強さや気候条件が異なるため、それらを考慮して足場の設置計画を立てる必要があります。また、気温や降水量などの気象条件も影響を与えるため、安全性を確保するためにはこれらを考慮した対策が求められます。
7 外壁塗装後の足場撤去とその手順・注意点
外壁塗装が完了した後、足場の適切な撤去が重要です。正確な撤去時期と撤去作業の流れ、さらに作業者と周囲の安全確保について詳しく見ていきましょう。
7-1 足場の正確な撤去時期と撤去作業の流れ
足場の撤去時期は、外壁塗装が十分に乾燥し、塗装作業の影響を受けないことが重要です。一般的には気候や塗料により異なりますが、少なくとも外壁塗装などの塗料が表面乾燥している状態で行うのが良いとされています。撤去作業の流れは以下のようになります。
安全確認と計画立案: 作業前に周囲の安全を確認し、撤去計画を立てます。
足場の分解: 上から順に足場を分解し、安全に地面に降ろします。
搬出と清掃: 分解した足場材料を搬出し、周囲を清掃します。
最終点検: 足場を撤去した後、建物の周囲を点検し、問題がないかを確認します。
7-2 作業者・周囲の安全確保に関するポイント
足場の撤去作業中は、作業者の安全だけでなく周囲の安全も確保することが必要です。
・作業者の装備: 作業者は安全帯やヘルメット、手袋などを着用し、安全な作業を行います。
・周囲の注意喚起: 周囲の人々に作業の進行や危険箇所に注意するよう周知徹底します。
・適切な作業区域設定: 作業エリアを適切に設定し、立ち入り禁止を明示します。
これらのポイントを遵守することで、足場の撤去作業を安全かつ円滑に行うことができます。外壁塗装工事の最終段階でありながら、安全性を確保する重要な作業です。
8 まとめ
外壁塗装の足場の必要性や費用相場、足場に関係するトラブル事例と対処法などを解説しました。
外壁塗装は高所作業になるため、職人の安全確保や施工品質の向上、塗料の飛散防止などで足場が欠かせません。30坪2階建ての住宅の場合、20万円程度が相場であるため、見積もりをもらったときは相場に近い金額か確認してみてください。
もちろん理由があってプラスアルファ費用がかかる場合もありますので、その部分はなぜ必要かを確認してください。
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昭和39年より兵庫県神戸市で外壁塗装・屋根塗装・防水工事を行っている有限会社岡防水工業の代表取締役。
1級建築施工管理技士や1級防水施工技能士等の資格を取得し、外壁塗装業界で20年以上働いています。